こちらは、エジプト・カイロ日本人学校の土屋新太郎です。
カイロは、最近急に冷え込んできました。夏から一気に冬が来たという感じです。とは言っても、朝の最低気温は、12度前後。昼間の日差しはまだまだ厳しいです。
「カイロ日本人学校の紹介」
カイロは、エジプト・アラブ共和国の首都で、人口一千二百万人を超える大都市です。現在、カイロはアフリカおよび中東の中心的な役割を果たしています。カイロの中心を流れるナイル川は、古来より人々の生活を支えてきました。このナイル川を中心にカイロの街は発達しており、イスラム文化を象徴する古い建物と近代的な新しい建物が混在しています。早朝のコーランで始まる一日は、灼熱の太陽が沈んだ後もなお活気に満ちており、街には人と車があふれています。
現在カイロは、高層ビルや地下鉄の建築、日本や欧米資本の進出など急激に近代化が進んでいる一方、六千年の歴史を誇るエジプト文明の悠々とした時の流れ今もなお持ち続けている、実に魅力的な街でもあります。
カイロ日本人学校は、このカイロに昭和四十七年五月に設立されました。昭和六十三年四月、カイロのザマレック地区から約十七キロ離れたギザの三大ピラミッドのすぐそばにカイロ日本人学校の新校舎が完成し、現在に至っています。
学校は砂漠と農耕地の境目にあり、周囲は農村地帯で学校前の通りでは、のんびりと歩く牛や羊の群れ、あるいはロバに乗った農夫が行き交う光景などが見られます。少し広い通りに出ると馬車に農産物を積み、街に売りに行く人々や、通りに馬車を止めてそれらを売っている風景も見ることができます。活気のあるカイロの街中とは雰囲気を少し異にしています。
一九九一年の湾岸戦争前には一五○名いた児童・生徒数も戦争の影響で激減し、その後も日本の景気の影響を受けてか徐々にその数は減少し、現在は五一名(平成十年十一月十二日現在)です。今後大きなプロジェクトが入らない限りこの状況は変わらないと言われています。先生方は、日本の文部省による派遣の先生方が十一名、現地採用の日本人の先生二名、アラビア語・英会話の外国人の講師の先生二名、日本人の事務の先生一名、現地採用のエジプト人の職員さん十七名で合計三十三名です。
カイロに在留する日本人は約七百人と言われ、私たちの両親は総合商社、大使館、土木建築会社、JICA、日本人学校などに勤務する人たち、それに国際結婚をされた人たちなどです。
私たちは全員スクールバスを利用し、約四十分〜一時間かけて登下校しています。学校給食はないので毎日弁当と水筒を持参しています。お昼ご飯は、教室ばかりでなく、中庭やグランド、体育館など好きな場所で食べています。天気の良い日は、屋上でピラミッドを眺めながらお弁当を食べたり、屋上にある砂利の中から化石を見つけたりしています。校則はなく、制服や標準服もありません。
小学部一年生から中学部三年生まで僅か五十名程度のため、上級生が下級生の面倒をみるという生活が定着し、学校全体が家族的な暖かいムードに包まれています。その一方で、仲良しグループ的な集団となり易く、互いに切磋琢磨し合う場面を作りづらいことは、小規模校の問題点でしょうか。
次に授業ですが、海外における日本人学校では、あくまでも日本にいる皆さんと同じ教育を受けることを目的としているので、カイロ日本人学校でも、文部省が定めた学習指導要領に基づいて授業が計画されています。しかし、その他に小学部二年生以上には週二時間の英会話を、小学部四年生以上にはさらに週一時間のアラビア語会話の授業を取り入れているのが特徴です。中には英語やアラビア語をペラペラと話せる人もいます。
また、月に一回、現地を理解するために小学部低学年、中学年、高学年そして中学部ごとに、一時間、「国際理解講座」の時間を設けています。そこでは国際交流担当の先生ご指導もとにイスラム世界やエジプトの歴史、生活などについての学習が行われます。また、学期に一回、外部から講師の先生に来ていただき、私たちの国際理解に役立つ講演会を開いてくださいます。
本校には、プールがないため近くのホテルのプールを借りて水泳の授業が行われます。小学部三年生までの低学年グループと四年生以上の高学年グループに分かれ、先生方全員で私たちの泳力に合わせた指導にあたってくださいます。さらに四年生以上の児童・生徒は、週二回課外活動として硬式テニス、サッカー、卓球のいずれかのクラブを選び、活動しています。猛暑の中での活動は、とてもきついですが体力と精神力の養成に十分役立っていると思います。
児童・生徒会活動も活発に行われています。小学部四年生以上の児童・生徒全員が、代表委員会、環境委員会、図書委員会、広報委員会に所属し、それぞれ縦割りの組織で活動しています。年間の主な活動は、新入生歓迎会、鯉のぼり集会、七夕集会などの季節に合わせた集会のほか、毎週予定されている児童・生徒による集会の企画・運営も行っています。また、毎週日曜の朝には全校集会があり、校長先生ばかりでなく他の先生方の講話を聞いたり、体育や音楽の集会で楽しんでいます。
最後に学校行事について紹介します。一学期には、小学部六年生、中学部二、三年生によるギリシヤへの修学旅行があります。アテネ市内の見学、エーゲ海クルーズが主なコースです。三泊四日の旅が八万五千円程度ですむのは、日本では考えられないことだと思います。また、春と秋には社会見学が実施され、春には砂漠への植樹を行っています。
二学期には運動会が行われます。学年別のリレー、演技の他に紅白に分かれての応援合戦が繰り広げられ、大変盛り上がります。また、現地校の参加、在留邦人によるカイロ日本人会の参加協力があり、綱引き、百足競争、日本の出身地別対抗リレーなどが行れ、運動会をより一層盛り上げてくれています。
二学期のもう一つの大きな行事は、ピラミッド持久走大会です。世界中の人々が一度は見たいというピラミッドのまわりの舗装道路を使った持久走大会です。澄み切った砂漠の大空のもと、全教職員が子どもたちとともに汗を流すこの学校行事は、カイロ日本人学校の自慢の活動の一つでもあります。
三学期は学習発表会が行われ、例年中学部は英語劇を、小学部高学年はアラビア語劇、低学年はエジプトの童話や日本の昔話を劇化し、発表しています。この学習発表会にはカイロ大学文学部日本語文学科の学生さんや現地校の生徒の皆さんも参加してくださいます。
この他、年間を通し、現地校と英語・音楽・美術・家庭科での合同授業や各種スポーツ、演劇等で交流を深め、エジプト理解に努めています。
ちなみに、私たちの中でで学習塾に通っている人は、一人もいません。なぜなら、カイロには塾がないからです。その代わり、英語会話やピアノ、バイオリンなどのレッスンを受けている人は大勢います。また、よく遊びに行くところは、友達の家かゲジーラスポーツクラブです。他に安全に遊べるところはほとんどないので残念です。 |